本作『悪の教典』は、そんな三池監督一流のサービス精神が、真摯に学園ホラーを演出することによって発揮されている。
山田孝之のいじり方に三池流のお遊び精神を感じはするが、それ以外はガチンコなホラー演出に徹しており、かなりコワい。
本作に登場する高校教師ハスミンこと蓮実聖司は他人への共感能力が産まれながらに欠如した真性のサイコパスである。
『海猿』のヒーロー伊藤英明がそんな二面性を持った男を不気味に演じているが、みずからの悪事を隠匿するために、教え子全員を皆殺しにしようとするクライマックスはある意味吹っ切れている分爽快で、むしろその凶行に至るまでのネチネチとした犯行の方が、陰性な分だけ恐怖感が後に残る。
スタンダード・ジャズの名曲「マック・ザ・ナイフ」やその原典でもある「三文オペラ」の劇中歌の引用など、音楽の使い方も気が効いており印象的。
北欧神話の主神オーディンの使い魔である2羽のワタリガラスが、ハスミンに対峙する存在として象徴的に描かれているが、このあたりの比喩の仕方も好みである。
でも1羽ハスミンによって殺されてるんだよね。となるとラストシーンと辻褄が合わなくなる‥ちょっと意味深だ。

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