出典:EPGの番組情報
NHK地域局発 かんさい熱視線▽ステップファミリー~家族の多様化とどう向き合う[字]
親の再婚などによって継親子関係が生じる、「ステップファミリー」。社会に広がる一方、根強い偏見などによって苦悩する当事者が少なくない。必要な支援とは何か考える。
番組内容
親の再婚などによって継親子関係が生じる家族、「ステップファミリー」。4組に1組が再婚家庭となり、社会に広がる一方、周囲に打ち明けられない人も少なくない。取材を進めると「親の都合で子どもが犠牲に」、「本当の親がいないのはかわいそう」…根強い偏見や固定化された家族観が重圧となり、「普通の家族にならなければ」と苦悩する実態が見えてきた。ステップファミリーの孤立を防ぐため、必要な支援とは何か、考える。ジャンル :
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
お母さんに いつもだっこをせがむ男の子。
実は 血のつながりのない継子です。
2組のひとり親家庭が一つになった
ステップファミリーとして
暮らしています。
結婚する4組に1組が再婚となり
身近な家族形態になっている
ステップファミリー。
しかし 再婚家族であることを
周囲に打ち明けているのは
4割弱にとどまっています。
生活習慣の違いによる衝突など
悩みがあっても
相談できないという人も
少なくありません。
離婚や再婚が増え
家族の形が多様化する現代。
どんな家族も
ありのままに暮らしていける。
そんな社会をどう作っていけばいいのか
考えます。
「かんさい熱視線」です。
まず ステップファミリーについて
こちらで ご紹介していきましょう。
実の親子関係があるところに
再婚などによって
新たな家族関係 親子関係ができる。
これを
ステップファミリーと呼んでいます。
血のつながらない親を 継親。
子を 継子
この関係を 継親子関係と呼びます。
ステップファミリーというのは
決して 珍しいケースではないんですね。
こちら。 新規の結婚における
再婚の件数の割合が 26.4%。
4組に1組は 夫婦のどちらか
あるいは 両方が再婚なんです。
また 毎年 およそ20万人の子どもが
親の離婚を経験しています。
支援団体による
こんな調査結果もあります。
こちら。
という問いに対して…
理由を聞いてみると…
という声が 上がりました。
今回 複数の家族が
ステップファミリーのいいところも
課題に感じているところも
ありのまま知ってほしいと
取材に応じてくださいました。
取材を受けてくれたのは
東大阪市に暮らす この5人家族。
母親の岡山さんと
娘のジュリアちゃん 息子のレオくん。
パートナーの稲森さんと
その息子 コウシンくんと
事実婚の形で暮らしています。
離婚を経験した
岡山さんと稲森さんは
息子たちが通う
保育園の懇親会で出会いました。
交流を続ける中で
互いの人間性に引かれ合い
2年前から ステップファミリーとして
生活を共にするようになりました。
ほかの家族と 何が違うのか?
家の中にカメラを置いて
生活の様子を
撮影させてもらうことにしました。
岡山さんにくっついて離れない
継子のコウシンくん。
とっても懐いている様子です。
その一方
ジュリアちゃんと 継親の稲森さんは…。
なかなか会話が始まりません。
頼られるのは いつもお母さんです。
まだまだ ぎこちない5人。
家族のコミュニケーションを
少しでも増やそうと
月に一度は キャンプに行っています。
家族のために率先して準備をする
稲森さん。
そうなん? フフフフ。
この日は レオくんの8歳の誕生日です。
♬「ハッピー バースデー トゥ ユー」
(一同)おめでとう。
5人で楽しく暮らせるようにと
模索を続けて 2年。
ステップファミリーという家族の形を
子どもたちは
どう思っているのでしょうか。
アハハハハハハハ。
いいと思う?
うん。
うんって何や ちゃんと言うて。
何でいいの?
これ何?
続いて 取材に応じてくれたのは
こちらのステップファミリー。
堺市に暮らす 西永さん家族です。
母親の悠さんと
息子のトシキくん 娘のマイちゃん。
4年前 この親子に
新たな家族が加わりました。
それが…。
継父の泰崇さん。
いつも陽気な 家族のムードメーカーです。
見てた~。
夫婦の間に生まれた3歳の男の子と
5人で暮らす 西永さん家族。
休日には いつも家族で出かけ
関係を築いてきました。
しかし 子どもたちが
思春期にさしかかる中
難しさを感じるようになっています。
機嫌を損ねがちな子どもに
つい厳しい口調になってしまいます。
雪降ってる。
ステップファミリーが直面する
関係の難しさ。
西永さん家族は ある工夫をしています。
2人の子どもは 毎週 実の父親に会い
交流を続けているのです。
うわ~ お母さん すごいね。
(拍手)
父としての役割は 実の親に任せ
心地よい距離感を模索する 西永さん親子。
しかし もう一つ 悩みがあるといいます。
この日 娘のマイちゃんが
御飯の途中で泣き始めました。
離婚や再婚への後ろめたい気持ち。
周囲から どう思われているのか気になり
相談しづらいといいます。
はい。
ここからは 家族社会学がご専門で
大阪産業大学の准教授 菊地真理さんと
お伝えします。
菊地さん よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
番組では 合わせて30組の家族を…
ステップファミリーを取材しまして
ほかにも こんな声がありました。
それから…
それから…
という声がありました。
ただ一方 VTRにもあったように
もちろん 課題や悩みもあります。
菊地さん その長年 調査に携わる中で
ステップファミリーという家族の形
どう菊地さんは ご覧になってますか?
はい。 2人の親がいて
そこに子どもがいると
ステップファミリーは 一見すると
初婚の家族と同じように見えるんですね。
ですが 初婚で 両親がそろった家族と
そのステップファミリーには
その家族の成り立ちですとか
関係構造が大きく異なると。
そのことが 当事者にも 周囲にも
なかなか知られていません。
その違いを理解せずに
継親が 新しい親として
初婚のような家族になろうとすると
まあ かえって 継親も 継子の方も
苦しい状況に追い込まれてしまう
というところがあります。
家族になったからには
本当の親らしくなりたいっていうのは
いいことのように思うんですけれども
そうではないんでしょうか?
それこそが ステップファミリーが
陥りやすい落とし穴であります。
子どもからすれば
親の離婚 再婚に関わりなく
両方の親 離れて暮らしている
もう一人の親が
存在し続けているわけですね。
今 ダイアグラムに出てきましたけれども
そのステップファミリーには
離れて暮らしている
もう一人の実親の存在があるわけです。
ここが 見落とされてしまう
軽視されてしまう
というところがあります。
離婚 再婚で 愛着を感じていた
もう一人の親との関係が
途切れてしまうと。
で そこに 親になろうと 継親が 例えば
厳しく子どもをしつけたりとかですね
そういった 親としての役割を
果たそうとすると
子どもからすれば
親じゃないくせにというような
抵抗や反発が生まれてしまう。
これは よくあることだと思います。
まあ そういった継親と子どもの間に
何か あつれきが生じた時に
実親が その間に板挟みになってしまう
ということも よくあるんですね。
このステップファミリーを
周囲は どう見ているか
こういうデータがあります。
ステップファミリーに対する
印象を聞いたデータですね。
いいことだと思うという答えが
3割を超えている。
まあ 一方で 懐疑的 賛成でない
否定的な見方も 3割近くあるんですね。
菊地さんは 長年 調査にあたってきて
ステップファミリーを見る 周囲の目
どう感じてらっしゃいますか?
ステップファミリーに対しては
相対する2つの見方っていうのが
あると思うんですね。
1つは やはり その
血縁のない継親子関係に対して
まあ そこで
何か難しいんではないかとか
その虐待が起こりやすいのではないか…
リスクというふうに見なすもので
まあ そういう見方があると
ますます当事者が
悩みを打ち明けにくくなったり
支援を求めにくくなってしまいます。
一方で
一見 ポジティブに見える
血縁がなくても親子になれる
というような
まあ 一つの偏見ですね。
再婚が 新しいパパ ママができる
離婚後のひとり親から
2人の親がそろった
普通の家族になるということを
肯定するような見方です。
これは 非常に根強くあると思います。
いずれにしても 非常に固定的な家族観
家族といえば 2人の親がそろった
核家族であるというようなものから
生まれる見方であって
こういった周囲の相反する
二重のプレッシャーの中で
ステップファミリーは
普通の家族にならなければというふうに
思い込んでしまうと。
そういった 悩みを抱えた時に
周囲に打ち明けられずに孤立してしまう
というようなところが あると思います。
その打ち明けることが
難しい状況に置かれた当事者
どう支えることができるのか。
支援の現場を取材しています。
えっと… 今日の
オンラインLEAVESなんですけれども…
オンラインで開かれた
ステップファミリー当事者の会です。
プライバシーへの配慮のもと
特別に取材が許されました。
この日 話し合ったのは
継子と折り合いの悪い
継父の事例について。
トイレのしかたなど…
…を抱いてしまうという悩みです。
ステップファミリーが抱えやすい問題を
互いに共有し
解決策を探っていきます。
活動を始めて20年
1, 300人以上を支援してきた この団体。
悩みを打ち明けられる
貴重な場となっています。
こんにちは。 こんにちは。
こんにちは。
大阪府内で開かれている
ひとり親家庭の交流会です。
季節のイベントに合わせて集まり
家族の垣根を超えて
共に時間を過ごします。
再婚に向けたサポートにも取り組む
この団体。
支援を続ける中で
ステップファミリーに生じるトラブルを
未然に防ぐヒントが
見えてきたといいます。
再婚するまで見えにくい
血のつながらない親子の関係。
父と母だけでなく
子どもを含めて関係を築けると
トラブルが発生するリスクを
下げられるというのです。
この団体では 再婚して
ステップファミリーになった人にも
SNSを通じて 継続支援を行っています。
トラブルや
悩みの解決に役立つ情報の提供
更に当事者が 互いに相談し合える場を
設けています。
当事者を支えるさまざまな取り組み
菊地さん どうご覧になりましたか?
やはり 今 悩んだ時に
当事者が 相談できる場っていうのが
まだまだ限られている
というのが実情です。
今 自治体では
子育て支援に力を入れているところです。
離婚 離婚後までは 経済的な問題ですとか
就労支援ですとか 子育てなど
支援のニーズがはっきりしている。
だけど 再婚して 再婚すると
2人の親が そろって
問題ないというふうに見なされるのか
ステップファミリーが 支援の対象から
抜け落ちているようなところがあります。
通常の子育て支援のメニューの中に
是非 加えていただきたいと思っています。
ステップファミリーが いわば
エアポケットのようになってしまってる
っていう感じだと思うんですけれども
菊地さんは その 支援を行う側にもですね
助言や啓発を行っています。
どんなことを伝えてらっしゃるんですか?
やはり その まず 行政の
子育て相談窓口などに
相談するようなケースが多いと思います。
そういった時に その支援者側が
いわゆる ステップファミリーを
普通の家族というふうに見なして
継親に対して 親になったんだから
頑張らないとですとか
お母さんは
あなたしかいないのよですとか
生みの親より 育ての親よですとか
そのように 親代わりとなるように
継親を誘導したり
継親子が 実の親子を目指すような
励ますような助言が
逆に当事者 そして 子どもを
その向こうにいる子どもを
追い詰めてしまうんですね。
そういった支援者自身が
そういった固定的な家族観に基づいて
支援のスタンスを持っていないかどうか
考えてみてほしいということを
伝えています。
よかれと思って言ったことが
プレッシャーになってしまう。
そうすると その周囲 私たち
そして 社会が どう関わっていくかが
大事になってくると思いますけれども
先生は どうお考えでしょうか?
その家族の形が
多様化しているにもかかわらず
再婚後のステップファミリーを いわゆる
普通の家族というふうに見なすような
誘導するような現在の離婚制度
協議離婚制 単独親権制
養子縁組みなども含めて
実態にそぐわないような状況が
あると思います。
海外の主要国では 離婚後も 父母 双方が
子どもとの関わりを持ち続けるような
共同養育 共同親権制というものを
採用して
別居している親も 子どもの養育に
関わり続けるということを
制度面でも 後押ししています。
VTRで 後半で出てきた
別居しているお父さんと子どもが
交流しているという 家族の例が
紹介されていたと思いますけれども
その 親の離婚や再婚で 子どもが
家族を喪失していくのではなくて
離婚後も 両親とのつながりを維持して
再婚後 継親ですとか
きょうだいですとか
それが 新たに家族に加わっていくような
複数の大人が それぞれの関わり方で
子どもの育ちを支えていく。
まあ そういうふうにして 子どもに
ステップファミリーの恩恵があるような
そういった ステップファミリーの
強みを支える
支援や制度が 必要だと思います。
ステップファミリーの子どもにとって
恩恵がある
子ども目線で 是非 考えてほしいですし
本当 家族の数だけ 家族の形があるという
認識を 我々が持つことが大事ですよね。
菊地さん 今日は 本当に
ありがとうございました。
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