100分de名著 エドガー・アラン・ポー[終](4)ミステリはここから生まれた[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

100分de名著 エドガー・アラン・ポー[終](4)ミステリはここから生まれた[解][字]

パリの町で真夜中に母娘が殺された。殺人現場は鍵がかかっていて窓も閉まったまま。この不可解で残酷な事件の解決のために世界文学史上初の名探偵デュパンが登場する。

番組内容
文学作品の中で初めて活躍する名探偵デュパンは、その鋭い分析的知性で難事件を次々に解決、その能力はまさに彼のビジネスの武器でもあった。推理の果てに浮かび上がるのは想像もしないような犯人。その犯人像には、当時アメリカ南部を覆っていた黒人差別の状況が色濃く反映していた。第四回は、世界初の推理小説を読み解くことで「人種差別の問題」や分析的知性すら資本と化す資本主義の根深さに迫っていく。
出演者
【講師】慶応義塾大学教授…巽孝之,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】北村一輝,【語り】よしいよしこ,【声】羽室満,田丸裕臣

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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  18. 最初
  19. 自分
  20. 新聞

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

アメリカ推理小説界の最高峰 エドガー賞。

それは 作家 エドガー・アラン・ポーの
名から取られています。

第4回は 世界初の推理小説…

ポーが生み出したのは
文学史上初めての名探偵。

密室殺人や 意外な犯人像など

後のミステリに
受け継がれる約束事を

たった一人で創り上げました。

ポーは
いかにして推理小説を発明したのか。

その秘密を解き明かします。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」
司会の安部みちこです。
伊集院 光です。

さあ
「エドガー・アラン・ポー スペシャル」

もう ここまで
3つの作品 見てきましたが

伊集院さん ここまで いかがでしたか?

それぞれ 後にジャンルが決められる
みたいなところがあったと思うんですね。

だから この4作品目が じゃあ 後に

どういうジャンルに
仕分けされてるものなのかという。 お~。

4作品目は有名ですよ~。
ああ そうですか。 はい。

では 指南役 ご紹介しましょう。

アメリカ文学者で慶應義塾大学名誉教授の
孝之さんです。

さん よろしくお願いします。
よろしくお願いします。 どうも。

さあ 第4回にして いよいよ かの有名な
「モルグ街の殺人」ですね。 そうですね。

これ 世界で初めての
推理小説なんですよね。 初めてです。

これによって ポーは
推理小説の父になったわけで

彼がいなければ あのコナン・ドイルも
アガサ・クリスティも

レイモンド・チャンドラーも
いなかったであろうと いわれています。

だから まあ
全て推理小説は ポーから始まったと。

一方 ちょっと
これは言っとかないとと思うのは

推理小説というのは 我が国では 日本側で
付けた名前みたいに思われてますけど

ポー自身が 実は 推理小説という名前に
関与してるんですね。

今の英語では detective fictionとか

detective storyというのが
推理小説なんですけど

ポーは ratiocinative talesと呼んだ。

これも直訳すると 推理小説なんですよ。

ポーは 推理小説の父であると同時に…

…ということです。

ちなみに detective fictionは

日本語で言うと 何てことです?
探偵小説です。

detectiveは 探偵だから。
ああ ちょっとニュアンスが違いますね。

江戸川乱歩はね だけど 推理小説を
日本に根づかせた人ですけど

彼が 仲間と語らって作ったのは…

今でも
マニアの方は 探偵小説と呼びたいと。

でも かなり広い読者層ということを
考えると 推理小説になる。

いや でも すごいよな。

エドガー・アラン・ポーがいなければ
できなかったっていう人たちのを読んで

推理小説 書いてる人が
いっぱいいるから。 そうですよ。

そうやって考えると すごいですね。
もう 根っこの根っこですね。 ど真ん中。

さあ では読んでいきましょう。

舞台は フランスの大都市 パリ。

物語の語り手と暮らしているのは
ある没落貴族の男です。

その名は…

物事を冷徹に分析し
真実を見抜く観察眼の持ち主でした。

彼の推理力は すさまじく

語り手の考えを
いとも たやすく読み取ってしまいます。

ある時 2人で街を歩いていると
突然…。

僅かな しぐさから
相手の思考を読み取る 知的能力。

それは 怪奇現象に匹敵するほどでした。

そんな ある時
パリで殺人事件が発生しました。

新聞が報じたところによれば
その日の午前3時

モルグ街にあるアパルトマンの4階から
悲鳴が。

(悲鳴)

近くの住人や憲兵が駆けつけると
何やら 言い争う声が聞こえます。

急いで 扉の鍵をこじあけると
部屋は荒れ果て 混沌としていました。

そして 驚くべきことに…

しかも 逆さで押し込まれるという
異様な姿でした。

2人とも 骨が粉々になるほど
強靱な力で傷つけられたことが

後の検視で明らかになりました。

窓も開けられないよう
くぎで固定されていて 部屋は完全に密室。

警察の捜査は
早くも行き詰まりを見せていました。

デュパンは 何となく
聞いたことありますね。 うん うん。

ちょっと ルパンに似てますけどね。
ハハハハハハ… 犯人の方ね。

このデュパンが
文学史上初めての名探偵なんですね。

どんな特徴がある名探偵ですか?

書斎から ほとんど出ることないまま
推理する

アームチェア・ディテクティヴ。

つまり新聞 雑誌なんかの いろんな報道を
とにかく読み解くことで

真犯人に到達する

言ってみれば 一種の情報貴族ですかね。

一方 ポーは この同じ名探偵デュパンが
活躍する作品を

他に2作 書いています。

同じキャラクターを出して
手をかえ品をかえれば シリーズ化できる。

これって
一種のスターシステムなんですよね。

…とも言えるんです。

初の推理小説にして もう そのシステムを
作っちゃったということですね。

これ 足向けて寝られない人が
いっぱい いそうですね。

この2人組って 今で言うと
何か よく聞く感じですけれど

これも やっぱり
例えば シャーロック・ホームズとワトソンみたいな…。

そうですね 今で言うと 相棒関係とか
あと バディものですね。

だから その起源ですね。 今 日本の
テレビドラマでも「相棒」やってますけど。

最初にして かなり おいしいとこ
もう 発明しちゃってるんですね。

そうなんです。
全部 この人から始まっちゃってるんで。

その 最初の探偵になったデュパンに
モデルはいるんですか?

モデルはね
今の朗読で ちょっと言及されてた

実在したフランス人
ヴィドックという人ですね。

(伊集院 安部)へ~。
実は 犯罪者だったんですよ 元。

ブタ箱に ぶち込まれて

その中で 暗黒街の大物なんかと
非常に懇意になって

だから その犯罪者の裏を
知り尽くしたわけですけど

知り尽くしたら じゃあ
自分も 例えば大泥棒とかね

大犯罪者になるかというと この人
なんとね 警察に勤めるんです。
へ~。

それで パリで いわゆる
犯罪捜査局というのを打ちたてて。

ポーのセオリーだと 探偵というのは…

ヴィドックという男は
元犯罪者の 警察関係者ですから

両方 分かるわけです。

ポーは 多分
自分のネタだということを隠すために

作品の中では
ちょっと けなしてるんですね。

ああ~ なるほど。

実は ポーは
ものすごいインスピレーションを得てる。

さあ では 名探偵デュパンは
どのように事件を推理するのか

物語の続き 見ていきましょう。

翌日の新聞には
事件の際に聞こえていた

二つの声について
いくつかの証言が掲載されていました。

片方の声は フランス人で一致。

しかし もう一方の声については
証言がバラバラでした。

警察は 決め手がないまま

被害者と接点のあった銀行家を
逮捕してしまいます。

しかし この記事を読んだデュパンは
事件の特異性を鋭く見抜きました。

更にデュパンは 事件現場へと足を運び

警察には見つけられなかった
新たな事実を発見します。

それは 窓を閉めたまま固定していたかに
見えた くぎが折れており

隠しバネによって
窓が開け閉めされていたこと。

実は
完全な密室ではなかったというのです。

更に デュパンは
現場から 船乗りのリボンや

奇妙な体毛を見つけました。

これらの事実から デュパンが推理した
真犯人とは 一体…。

もう ちょっと面白いですね。
一緒に推理してんのが面白くて。

いや 最初はね そんなね 5か国語を
操れる人なんだ みたいになりますよね。

でも そのかわり ちょっと その前に
その 現場のすさまじさを見ると

怪力で 5か国語を操れて
みたいなことになってくるわけでしょ。

いかにして この世界初の推理小説を
成立させたかというところを

考える時のキーワードが
この2つだそうです。

近代都市というのは
それまでの農村的な共同体と違って

やはり あの お隣が何をやってるか
よく分からない。

でも
都市が発展してくというものですよね。

で そういう不気味さをですね 実はポーは
この「モルグ街の殺人」の1年前

1840年に書いています。

それは 「群衆の人」という作品で

20世紀のドイツの思想家の
ヴァルター・ベンヤミンがですね

「探偵小説のレントゲン写真だ」と
言ってるんですね。

ロンドンの街で
まあ 視点人物になってる男が

ある老人を ひたすら観察して
追跡するという それだけなんです。

殺人事件は起こらない。

それで まずは「群衆の人」を書いて

ここに犯罪を入れたら
どうなるかというふうに

「モルグ街の殺人」を書いた
というふうにも とれますね。

だから
ひょっとしたら 推理小説というのは

その都市遊歩者の小説のバリエーションで
出てきたかもしれない。

それが 推理小説のレントゲン写真だ
っていうのは

何ていうか 骨組みというか

大体の その外郭みたいなものは
実は そこで出来上がっていて。

犯罪だけが欠落してるということです。
そうですね。

で そこに 犯罪って要素を足すことで
何かこう 推理小説としては完成して

誰だか分かんない人が
このモルグ街には潜んでる。

潜んでいて
それは誰なんだろうということを

観察をもとにして 特定していくっていう
新しいシステムが出来上がるという。

だから 世界初の推理小説というのは
ひょっとすると

推理小説を書くぞって
意気込んで 書いたんじゃなくて…

江戸川乱歩が これ
1920年代になって書いた作品に

「屋根裏の散歩者」というのが
あるわけですけれども

いろんな人のプライバシーを
知ってしまう。

そこから 一つの犯罪まで
おこなっちゃうわけですね。

非常に淫靡な快楽も

やっぱり 都市文明だから
生まれてきてるというようなことは

乱歩が まあちょっと
ポーから発展させた視点ですね。

その辺 この
ずっと過去3夜 学んできて

かなり その時の
その 百何十年前の現代を

めちゃめちゃ取り込んでるじゃ
ないですか。 そうですね。

恐らく
新聞というものが みんなに普及して

何か ささいな事件に関しても

細かく みんなに入ってくるということは
みんなも思ってただろうし。

まあ 今のネット社会ですね。
そうですよね。

でいて ああ 最近 近くに
見かけない人が増えたなぁとか

あと 物騒な殺人が起こると

もう 誰なんだか分かんない
怖さあるな みたいなものを

多分 敏感に ここに写し取っていく。

そうすると 後に それが
推理小説と呼ばれるようになるっていう

何か そういう天才さは 毎回 思いますね。

さあ 物語に戻りましょう。

デュパンが導き出した犯人とは
一体 誰だったんでしょうか。

物語の結末 見ていきましょう。

デュパンが導き出したのは
あまりにも意外な犯人でした。

それは…

人間ではなく この獣が
レスパネー親子を惨殺したというのです。

一見 荒唐無稽に聞こえる推理ですが
その後 ある人物の告白によって

デュパンの読みが正しかったことが
判明します。

告白した人物は フランス人の船乗りで

ボルネオ島から オランウータンを
持ち込んだというのです。

ところが
オランウータンは脱走し モルグ街へ。

建物近くに立つ避雷針を登り
窓から侵入しました。

誰もが外国人だと証言した おかしな声や
現場にあった体毛は

オランウータンのものだったのです。

船乗りは 犯行を止められずに
慌てふためき リボンを落とした…。

全てが
デュパンの推理と一致していました。

こうして 無実の容疑者は釈放されました。

警視総監は まさか
こんな展開になるとはと悔しがり

デュパンに当てこすりをつぶやきますが
彼は それをあざ笑います。

衝撃の犯人… 「人」なのかどうか
分かんないけど オランウータン。

「犯人」なのか… 意外すぎますよね。
すごいね。

世界初の推理小説の
意外な犯人というのは

あまりに意外だったということですよね。

ポーが この作品を書いた
1841年の段階では

むしろ 世界に こんな奇妙な動物が
いるんだというふうに

知られ始めた
そういう頃だったんですね。

恐らく…

は~ なるほど。

オランウータンというのは
「森の人」と言われるぐらいで

もう 実に人がよさそうですよね。

もう絶対 残虐な殺人なんか
しそうもないわけです。

ですから この「モルグ街の殺人」を
映画にする時には

必ず ゴリラに置き換えられてますね。

でも面白いですね。
俺は 動物が好きだから

オランウータンって 樹上生活をするから
木から木までを渡るから

握力とか 異様な強さだったりするの。

それと 最初 まさに「森の人」で
人と間違えられたぐらい 人っぽかった。

何だか 変にリアリティーのある
その断片的なオランウータンの情報で

やべえのいるなって
思ってんだと思うんだよね。

で そこを多分 キャッチしてるから
何か多分 俺たちが思うのより ずっと

うわ~ オランウータンかって
思ったんじゃないかなぁ。

ポーの まあ 一つの達成というのは
全くゼロから出発するというよりは

いろんな素材を巧妙に混ぜ合わせることで
新しいものを作り出した。

元ネタがあっても それを作り替える時に
発揮されるオリジナリティー

ないし 新しさもあるんですよね。

ポー自身が使ってる言葉だと
Chemical Combinationだと。

自分がやってるのは
Chemical Combinationだという。

ちょっと 例えは違うかもしんないけど
あの いとうせいこうさんって

いろんな番組の企画を出すし
タレントとしても面白いし

すごく独創的な人なんですけど

いとうせいこうさんに 「職業 何ですか?」
って聞くと 「編集者です」って言うの。

編集者って そういうものですっていう

その 事柄は一つとかなんだけれども…

ちょっと それに近いものを感じて。

この人は
すごい 引き出しが いっぱいあるから

じゃあ その 追い詰められて
起こしちゃう人の精神の移り変わりって

怖いっていう書き方ができるなと思えば
「黒猫」が書けるし

どうして こういう事件が起きたのかの
謎解きって面白いなって なってくると

推理小説が書けたりとか
何か それが すごいと思うんだよね。

どの目線にするかというところを
ほんとに切り替えられるから

いろんな作品になるんでしょう
きっと。 そうですね。

ここまで 4つの作品
見てきましたけれども

改めて エドガー・アラン・ポーというのは
何者だったんでしょうか?

このデュパンを よくよく観察すると

ちょっと
ポー自身を彷彿とさせるところがある。

デュパンというのは
そういう膨大な情報を読むことで

生計を立ててるわけですよね。
あの 没落貴族だから。

完全に その知的な頭脳で
解決することによって

パリ警察から ちゃんと報酬をもらってる。

同時に その近代都市がもたらした
膨大な新聞雑誌の情報ネットワークを

自由に利用できるという
そういうシステムは

その 雑誌文学者としてのポー自身にも
かなり当てはまってくる。

新しい文学を 自分の想像力 つまり

化合力を使うことで
編み出してったわけですから

まあ デュパン的な存在
情報貴族的な存在というのは

後の ポーが代表するような 職業作家

一つのモデルだったんじゃないかとも
思います。

何かでも ポーの人生のいろんな要素と
才能と 全部が合わさって

これが生み出されたんだなというの
分かりましたね。

こういう存在がいて で 時間がたって

先生みたいな人が ちゃんと この作品は
大もとにこういうものがありますよとか

後に こういうふうに
発展していきますよとか

学問として
調べてることが すごい大切な気がして。

それが ちゃんと分かるっていうことが

ちゃんと
リスペクトにつながってくと思うんです。

そうですね リスペクト大事です。 ええ。
はい。

で そのポーに対する
リスペクトにもなるし

ポーの前に これに近いものを
書いた人に対するリスペクトにもなるし。

時代背景とか その 人となりとかと一緒に
教わったのは

駆け足だけど
僕にとっては すごい収穫でしたね。

さん ありがとうございました。
どうも こちらこそ。

ありがとうございました。

Source: https://dnptxt.com/

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