出典:EPGの番組情報
SWITCHインタビュー 達人達「西本智実×佐治晴夫 EP2」[字]
世界を舞台に活躍する指揮者・西本智実と、宇宙の法則を人生に照らし、易しい言葉で伝える理論物理学者・佐治晴夫。EP2は西本の楽曲分析や音楽に対する思いにせまる。
番組内容
対談の舞台は、以前佐治が講演を行い北海道に活動拠点を移すきっかけになった旭川市のクリスタルホール。その音楽堂で西本が、指揮者を目指した背景や、体力勝負の面もあり女性が少ない世界でどのような気持ちで指揮台に立ち続けてきたのか語る。「もっと進化・深化したい」と語る西本に佐治が見せたのは昼間に輝く1等星シリウスの光。時空を超える存在に西本は何を感じるのか。音楽・宇宙・人類をめぐり二人のトークが深まる。
出演者
【出演】指揮者…西本智実,理論物理学者…佐治晴夫,【語り】満島ひかり,岡田将生ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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キーワード出現数ベスト20
- 西本
- 音楽
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- 宇宙
- 佐治
- 自分
- 未来
- オペラ
- ピアノ
- 先生
- 調和
- 平和
- イルミナート
- バレエ
- ロシア
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
自身のアトリエに天文台を持ち
観測と理論で宇宙を研究し続けている。
中でも 宇宙の創生に関わる
「ゆらぎ」の現象を解明。
さまざまな技術開発に
生かしてきた。
理論物理から宇宙 そして
人生の法則に至るまで…。
解き明かしてきたことを
幅広く発信している。
子どもから大人まで
わかりやすく記した著書も多い。
87歳を迎えた今も 各地で講演し
精力的に活動する佐治。
実は
音楽にも造詣が深い。
オルガン演奏の腕前は
趣味の範疇を超えている。
♬~(演奏)
そんな佐治の対談相手は…。
世界で活躍する
日本人指揮者の一人だ。
これまで
呼ばれて演奏してきた国は…
並外れた体力と精神力を要し
女性がまだ少ない
指揮者の世界で
一線に立ち続けている。
10年前 自身が芸術監督を務める
「イルミナート」を創立。
…を軸に舞台芸術に取り組んでいる。
アジアのオーケストラとして初めて
バチカン国際音楽祭にも招聘され
注目された。
常に 新しい音楽や芸術の可能性を
追い求めている。
そんな西本の思いに
物理学者 佐治が迫る!
♬~
この日 2人が訪れたのは
北海道旭川市にある音楽堂。
ちょうど手ごろな大きさで。
そうですね。
すごくいいホールだと思いますけど。
客席数は およそ600。
演奏者と観客が 一体となって
音楽を楽しむのに適した大きさだ。
もう 何も考えていませんね 恐らく。
ただ どうでしょう…
私 袖で 舞台袖で 少し こう
オーケストラが
チューニングしてるときにですね
少し こう 体を
できるだけリラックスさせて…
≪(オーケストラのチューニング音)
もちろん…
これ すごい!
本当ですか?
これ すごいです これ。
どこまでできるか わからないけど。
聴いてる観客の方
背中のほうに観客がいるんですけど
その辺は どのように
感じていらっしゃるんでしょうか?
もう 大変な集中力を… エネルギー…
ここが もう 何ですかね
怖いんですよ 背中…
背中 向けて…
まあ そうでしょうね。
僕らみたいな普通の素人から見ると
すごく…
実際 指揮をしてらっしゃるときの
気持ちっていうのは
どういう感じなんでしょうか?
以前 オーケストラの中で
チェンバロを弾く機会がありました。
まあ そのときの
何ですかね この…
オーケストラのアンサンブルの
心地よさといいますか…
本当に こういう中で
みんな 演奏してるんだと。
それがですね ここの…
それぞれの楽器奏者 同じ楽器群
違う楽器群でも
調和を目指すんですが
よく メトロノームで
こう あるじゃないですか 実験で。
同じテンポでいくけど
そのうち こう…
何でしょう…
本当に調和する瞬間の手前ぐらいに
あっ 調和だ。 調和に向かいたい。
でも…
だって
こうなって 頂上で… いったらね…
だから やっぱり こういうふうに
だんだん なっていく この…
1970年4月 大阪市に生まれた西本。
ピアノの先生をしていた母親の影響で
幼いころから 音楽は身近な存在だった。
外では わんぱくで活動的。
好奇心旺盛な子ども時代を過ごした。
学年の中では 一番年上っぽい役割
みたいなことになってしまいまして。
今日は どんな遊びをするかとか
みんなが聞いてくるんですね。
だから「これをしよう!」とかって…。
その中に
実は「オペラごっこ」なんていうことも
始めていたんです。
そんな お小さいころからね。
バレエなんかも ご興味が
おありになりましたか? そうですね。
やはり 母が 幼少時
バレエをやっておりましたので
同じぐらいの年から
私にも習わせるということで。
ですから みずから…
ピアノもそうですけど
みずから進んで やったというよりは
もう…
なるほど。 ああ そうですか。
やっぱり すごく
その影響っていうのがありまして。
そういう世界を
幼少時から体験して。
また 先生が
とても厳しい先生だったんですが
振り付けのときとかもね
この音は そのような心情を
表している音なんだということで…
クラシックというものに対して
特に 魅力を
お感じになったということは?
最初は…
和声ですね。
和声。
ハーモニー。
どうして そんなハーモニーが
作れるんだろう? と。
そこに のめり込んでいきましたね。
なるほど…。
先生 昨日「トロイメライ」のお話が
ありましたけど。
ドからファにいって
ファから始まる ファラドという
ヘ長調ですね その和音。
もちろん 作曲家すべて
皆さんの独特のハーモニー感覚
っていうのがあるわけですけれども
そこに…
そういったものを
すごくクラシックの音楽から感じて。
どうして こんな世界が…。
音楽にはあるのか? と。
音楽で表されるんだろう? と。
それで 家にあったスコアを…。
オーケストラのスコアですか?
あったんですね 数冊。
で 開けましたら 読めないんですよ。
ピアノは弾いていますけど…
作曲家って すごいんだなって
改めて思いまして
そして それを
自分で読みたいんだけど
つまり 作曲の勉強をしたら
読めるようになると思ったんです。
それで 和声 作曲の勉強 対位法と
勉強していきました。
西本は 音楽大学を目指し 猛勉強。
見事 作曲科に合格した。
大学入学後は 舞台の世界に魅了される。
アルバイトで オペラを裏方で支える
副指揮者の仕事を経験。
以来 さまざまな現場に通い詰めた。
大学入って すぐ オペラの現場の
副指揮者というものを
させていただく機会がありまして。
すごいですね。
ほぼですね
私の大学時代っていうのは
もう…
そうですか…!
とても楽しくて。
私は行かなくていい日も
たくさんあったんですけれども
もう 全部 行っていた。
ああ そうですか…!
地道な努力と才能が認められ
西本は 周囲の勧めで海外へ飛び出した。
行き先はロシア。
幼いころから憧れていた
作曲家やバレエを生んだ国だ。
サンクトペテルブルク音楽院
指揮科に入学した西本。
ここから さらなる挑戦が始まった。
初めてロシアに行かれて
ご生活されると
いろんな戸惑いとかね そういうことも
おありになったかと思うんですけど
その点 いかがでしたか?
ステージ一つにしてもですね…
それは…
ですから 急に その舞台に立って
踊れることはないんです。
みんな
国立のバレエ学校の学生とかは…
ただでさえ そこに行って
オペラを指揮をするということは
大変なことなんですけれども。
それが もう…
ですが 向こうの指揮者になってからが
大変でしたね。
2002年 西本は…
…に任命された。
音楽の能力に加え
2~3時間の公演で指揮棒を振り続ける
強靭な体力や精神力
演奏家たちをまとめる統率力も求められる
指揮者の世界。
圧倒的に女性が少ない中で 西本は
この現実に どう向き合い
指揮台に立ち続けてきたのか?
私の仕事からすると
呼ばれないと行けない所ですから…
やっぱり
そういうことがあったんですかね。
僕が知っているかぎりにおいては
女性の作曲家は
かなり いらっしゃるけれども
指揮者となると
あまり いらっしゃらないんですよね。
だから
何か いろんなご苦労とかですね
そういうことがあったのかなあなんて
ふと 思うんですけど。
…っていうことに
自分で決めていることもあるんです。
そうですね…
飛行機に乗るときにですね
入道雲とかに こう ば~っと
入るときがあるじゃないですか。
あのときの気分のようにですね…。
なるほど なるほど。
もう そこで…
ですから…
それね…
…なんていう作品がありますけど
あの中に その記述がありますよね。
やっぱり…
何も見えませんから。
もう とにかく 行くしかない。
頼るのは 目の前に輝いている
高度計とかスピードメーターとか
それしかないっていう。
何となく 僕 わかるような気がします。
指揮者は 作曲家の意図や
楽曲の背景を深く把握し
みずからの感性で再構築する。
♬~(演奏)
作曲家や演奏家が同じでも
指揮者が違えば 音楽は変わる。
西本も 自身の解釈で表現。
それが 唯一無二なものとして
聴く人々に伝わっていく。
前回の対談で 曲を解釈する方法を
西本は こう語っていた。
ですから…
音も聴きながら…
そうすると…
実際に音を奏でることで気付く
何かがある。
例えば バッハの「プレリュード」。
西本は 曲のラストに
気になる音があるという。
こう…。
♬~(演奏)
…ですけれども。
♬~(演奏)
ここで終わってもいい。 ですが…
♬~(演奏)
それがですね
終わりに向かっていきますけど…。
♬~(演奏)
いよいよ 終わろうと…。
♬~(演奏)
ここですね。 うん 確かに そう…。
この 上が…。
♬~(演奏)
濁りますね。
で もう 最後 そのまま…。
♬~(演奏)
終わりますね。 突然といいますか。
たぶん ピアノを弾いてて…
曲を分解した後
西本は それを再構築して表現する。
これを 一度に見るって
すごいですね これ。
楽曲分析って
どうやってするんですか? って
聞かれることがあるんですけれども
私の中では
例えば こう…
すべて そういったことを…
時間の刻みを見るものではないものを
感じるんです。
そういう楽曲分析がしたいと
ずっと思って…。
やっぱり…
ですから 逆に…
何か 先入観がある
ということですか? あり過ぎて。
それを こう…
常に もう一度 自分を…。
まっさらにするということですね。
なるほど…。
私 あんまり…
こういう自分になりたい
っていうんじゃなくて
こういう音っていうとこに
僕は すごく惹かれますね。
それは やっぱり…
ただ…
なるほど。
だから 指揮者っていうのは
これから どういう音を
出すかっていうことを
未来 未来 未来 未来を
引っ張っていってますよね。
そういうことから見ると 確かに
「しんかしたい」っておっしゃることは
ものすごく深い意味を
持っているような気がします。
人として「進化(深化)したい」と語る
西本に
どうしても見せたいものがあると
佐治が連れて行った場所は…。
うわ~!
こちら 望遠鏡なんですね。
ぴかり! ぴかりです。
ぴかりです。
それで コンピューター制御で
今 昼間の星を狙ってます。
佐治が台長を務める天文台。
この天体望遠鏡で 昼間でも
輝く星をみることができるという。
こちらですね。 ちょっと ご覧ください。
どうでしょうか?
うわっ!
みえます?
およそ9光年離れた
宇宙の中で最も明るい星…
9年かけて 今ここに届いた光だ。
そう! そうなんです。
でも よかったです みえて 本当に。
本当 ありがとうございます。
よかったですね。
西本さんが
10光年の先にある星をみてるのは
普通に景色を見ているのとは
違うんですよね。
シリウス君の光を受けながら
見つめあってるっていうことでしょ。
これが星をみるっていうことの
すごさなんです。
だから…
普通の方は ああ きれい! で
終わってしまうんだけれど
ず~っと こう
みていらっしゃった。
僕は すごくうれしかったです
あのときは。
「過去」「今」「未来」をつなぐシリウスの光。
時空を超えた存在があることを
見せてくれた。
2012年 西本は
みずからが芸術監督を務める
「イルミナート」を創立。
ジャンルの垣根を越えた総合芸術として
新たな舞台を作り上げている。
2013年 アジアの楽団として初めて
バチカン国際音楽祭に招聘される。
2年後 広島 長崎の原爆投下から
70年の節目には
バチカンから 平和への願いを込め
世界に向けて発信した。
これまで いろいろと新しい演出とか
試みをね なさってきましたけど
これから先 どういう音楽…
音楽だけに限らず芸術活動を含めて
残していきたいか
あるいは 作っていきたいか。
やはり その…
ですから それこそ…
…と考えています。
人類の… あれは 本当に…
…ということに
挑戦したことでしたから。
「平和」っていう言葉を
軽々しく使うのは
今 どうかとは思いますけど
でも あえて使えば
人類の平和っていうものを
あのイルミナートという芸術を通して
発信していけると すごくいいなと。
私は ロシアにもウクライナにも
友人がいます。
音楽仲間 たくさんいます。
まあ そこを…
とても重要なことですね。
やはり 相手と理解し合うことの
ポイントっていうのは
やもすれば…
だけど やっぱり ある程度
自分が変わるっていうことは
やっぱり 歩み寄るということで。
宇宙と音楽。 地球と平和。
壮大なテーマで語り合ってきた2人だが
まだまだ 話は尽きない。
共通項の媒体みたいなものは
人間であって
それは 心と心をつなぐということで。
一番安定した三角形ですよね。
そういうふうに考えると 何か
何となく希望が… ねえ 持てますよね。
≪はい OKです!
よろしいでしょうか?
≪お疲れさまでした!
(拍手)
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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